呼び名

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さて、一石投じてみようか。 パソコンのマザーボード、人間の脳。 どちらの方が性能が良いだろう。 当たり前ながら、人間の脳の方が格段に性能は良い。 が、残念ながら、それをのせているハード、人間は僅かな処理しか行わず、全くと言って言いほど使いこなせていない。 10%足らずしか使っていないとなれば、鉄の塊に負けても仕方がない。 そこに目をつけた人物がいた。 何故、優れた処理機能を持っているのに、レスポンスは微々たるものなのか。 何故有効に使えないのか。 それは、周辺装置がうまく作動していないからだ! 驚くべき事に、かの人は、その事を机上の空論で終わらせず、実現化まで図った。 ファントム。 かの人が作ったモノ。 信じられない事に、それを頭の中にいれて、脳の処理機能を効率化させ、デバイスドライバとして、全ての中身を使いこなそうと言うのだ。 さらに。 自らが第一号となり、脳内にソレを埋めた。 結果は成功。 彼は超人的な記憶力と処理能力を手に入れた。 それに連動して、VUIが製作された。 つまりだ。 かの人は、ユビキタス社会の立役者となり、自制品の宣伝を同時に行った事となる。 VUIが入ったマシンとファントム、そして、ユビキタス社会があれば、超人的な能力が得られる。 幸いな事に、失敗例は業界の中でも聞かない。 そうなれば、世界のトップエリート達が飛び付く。 庶民には高い、一つ50万$、日本円にして約5000万も、エスタブリッシュメント達にとっては障壁にはならない。 よって、販売台数は一年で100を超えた。 とてつもなく普及している自社のOSの販売台数、売上高に比べれば微々たるモノではあるが、これが金のなる木になっていくことは間違ない。 なのだが。 また、事態が変わる。 かの人が社長の椅子から席をたったのだ。 会長の椅子に座る事もなく、社会の闇にと消えていった。 その時にだ。 金のなる木であった、ファントムの開発を、他の企業に売り渡したという。 マスコミ、業界、共に血眼になって探すが、分かったのは日本にある企業という事だけだった。
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