トリックスターの日常

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 G県X市。  東京ほど都会で無く、かといって田舎でないところ。  学業を行うには、良い立地条件であろうという創立者の言葉によって、建てられた、時雨学園高等部 。  小学部から大学院で成る学園で、多数の有名人を輩出し、偏差値60越えの有名私立学校である。  そのため、入学金、授業料、支援金が高額ではあるが、金持ちの子弟が、毎年、時雨の門を叩きにや ってくる。  個別指導、最新器具の導入、高名な教授による授業。  魅力的な学校施設。  ――そんな所に、娯楽に飢えた、彼らがいた。 「――っと、終了」  時雨、高等部、IT研究室。  一教室丸々使い、七台のP.Cと、膨大な資料、半分位余ったスペースを贅沢に談話質的にレイアウトさ れている、贅沢な研究室。  この研究室もどきは、IT研究会によって使われている。所属の生徒は、それぞれの大企業の御曹司、 令嬢であり、それぞれ得意分野では、名を馳せてもおかしくない技量の持ち主だ。 「これをコンパイラすれば、どーにかなるな」  その内の一人。  黒髪、短髪。くっきりとした顔立ちに、すらりとした四肢。全てが計算尽くされたかのような造形美。好青年……のような雰囲気の持ち主。  桐原 煉(18)、三年。とある、財団の息子で、時雨高等部、理数系のTOP、全国模試も受けたら、 必ずTOP集団に踊りこむであろう秀才。 「さて、と。今回は何処にクラックするか」  そして、CPUの、プログラム、クラッキング担当。  リーダー的存在だ。 「煉? もう出来たの?」  そこに、向こう側のパソコンの方から顔がひょっこりと出てきた。 「煌。とーぜんっ。煌の提案通りに作れたぜ」 「そう。お疲れ様」 氷雨 煌(17)、同じく三年。大手IT企業の社長令嬢で、次期社長と名高い才女。煉に次ぐ、理数系TOP。 長身の美少女というより美女で、凛とした雰囲気を纏う。艶やかな黒髪を持ち、いつも違った髪形で登場するという。 そして、優秀なシステムエンジニア。 煉が最も信頼する相棒。
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