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「そりゃ家賃が安いんだから、仕方ないだろ。家があるだけマシだと思わなきゃな! ガハハ…!」
…ある日の昼休み。
俺にとっては重大な悩みを、いとも簡単に笑い飛ばしたのは同僚の大倉だった。
そういう彼は、同じ安月給でも実家の親が多少援助してくれるとかで、俺よりはいい暮らしをしている。一人暮らしでも条件は遥かに違う。
彼にとって仕事は社会勉強といったところか…?
「…お前には俺の気持ちはわからんだろうな」
俺が悪態をつくと、大倉は俺の背中をバシバシと叩いた。
「ハハハ! まぁ、そう言うなよ。いざとなったら俺の家に一緒に住むか?」
「そんな事出来るか。その…時々来るんだろ、彼女」
俺はそう言って大倉の弁当に目をやった。彼が手作りしたとは思えない、かわいらしいピンクの弁当箱…。…彼は大袈裟に照れてみせた。
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