やってきた幸せ

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 事態を把握した俺は、にやける顔を必死に抑えながら言った。 「そ、そりゃまたえらく急だな」  すると林は何故かもじもじし始めた。 「実はね、…当麻さん…、俺…デビューする事になったんです!」 「ええぇッ!? …お、おめでとう」  嘘だろ、という言葉を飲み込んで俺はそう言った。俺の耳は腐っているのだろうか…?  …彼が言うには自主製作していた曲がある人の耳にとまったとかで、バンドでデビューする事になったらしい。これを機に、ギターの腕も認めてもらうのだ、と彼は意気込みを熱く語った。 「ま、そんなわけでお世話になりました。当麻さんもお元気で!」 …こうして騒々しいギタリストは俺の前から姿を消した。
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