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愛しそうに誰かが少女の髪を触れる。
「可愛いよ。マリア。君は世界一可愛い子だ。眠る姿さえ美しい。まるで死人のようだ」
誰かがマリアという少女の頬を撫でる。
「愛しているよ。君だけを…」
眠るマリアの唇に軽く口付ける。それでもぐっすり眠っているマリアは目を覚めない。
童話の白雪姫のように毒りんごからの呪いは解かれないみたいだ。
「こんなにも愛しているのに、君の心はあの男なんだねマリア。なんて君は…」
愛しそうに触れていた髪をきつく掴むと自分と同じ目線まで顔を上げさせた。
「憎たらしいんだ」
愛憎入り混じった歪な色をした瞳で誰かがマリアをみる。
「あぁ、愛しいマリア。僕だけをみておくれ。僕だけを愛しておくれ。じゃないと僕……君を」
―殺してしまいそうだよ―
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