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「清楚でいい感じだよな」
「え?」
「好きだぜ、俺は」
「……」
「ん?どした」
嬉しいような嬉しくないような……
「変態スケベ兵士」
「なっ!変態じゃない!スケベなのは見せるお前が悪いんだろ!」
「見た兵士さんが悪い!」
「お前な…」
「ふふ」
「?」
突然笑い出すクリスティアに目を見開く。
「スケベで変態兵士さんだけど、嫌いじゃないよ私。だってお姫様としてじゃなく、普通の人間と同じ位置で私に接してくれる」
「クリスティア」
「それがとても心地よくて、好き」
「……」
風がぶあっと吹く。スカートが大きく揺らめき、瞬時にテュールは目線を逸らす。
「ほら、はっ…早く戻らねーと使用人が困るんじゃないか?」
「?そうだね、それじゃ兵士さん。また」
「あぁ…また、な」
テュールの頬が赤いのは何故だかわからない。だけどその顔が可愛くて、もっとみていたい気にもなる。
木の枝に足をかけ、器用に登っていく。最初は怖かった。だけどテュールに教えてもらったおかげで木登りできるようになる。
たまに二人で枝に座って景色をみるのだが、あの景色は部屋の窓からみる景色と少し違った。
登った時の達成感と隣にいる人。
部屋の窓からみる景色よりクリスティアは外から見る景色が好きだった。
テュールと出会ってまだ日が浅い。だけど一緒にいる時間が長くもあり短くも感じる。
クリスティアはテュールに感謝していた。再びこうして外の光に浴び、のんびりと過ごせる。
友人とも恋人とも呼べない優しく少し意地悪な人が横にいる事で、クリスティアは日々の疲れがとれていくのを感じていた。
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