箱庭お姫様

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アスタードという国がありました。 そこは戦争がない平和な中立国。 穏やかに話に花を咲かせる貴婦人達、その反対に努力する民達。 貧富の差はあるけれど戦争がないぶん、まだマシでした。 しかしそんな平和な国でも悩みを持つ者がいました。 「……やっぱり、部屋から一歩も出れないのは不便ね」 アスタード第一王女のクリスティアは部屋から一歩も出れない身だ。 その理由は彼女の瞳と髪の色。それは本来持つ事のない色だった。 王も王妃の髪と目は立派な漆黒色。 その間から金と赤の子が産まれるだろうか。 これは厄が起こるからもしれない。 そう思った貴族達が姫を部屋に監禁したのだ。 色が違えども大事な一人娘。両親は心を痛めてそれを承諾しました。 それからというものたまに王の使いが部屋に来て、父と母が心配している、だとか、皆の誤解を早くといてお前を自由にしてみせるとの言葉を耳にタコがつくくらいにきかされた。 父と母が頑張っているのはわかる。しかしこれといって成果があったのか、何一つ聞かされていない。 ただ退屈しないようにと、本を手渡されるくらい。 部屋にある本は全て読んでしまった。 かと言って勉強も基礎知識的なものも頭の中に入っている。 やる事がなく暇で勉強していたらあっという間に義務教育終了くらいの勉学を終わらせてしまった。 部屋には先生が来ないのでわからない事は全て自分で調べて解決させた。 この部屋にくるのは王の使いだけ。だけどそれも目的のものを渡したら直ぐに去ってしまう。 皆恐れているのだ。 クリスティアのその目と髪に。 .
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