15人が本棚に入れています
本棚に追加
或る日、昭彦がいつもの様に午後6時に帰宅すると玄関に見慣れない靴が有った。
妻の洋子が珍しく、友だちを呼んでいたのだ。
「おかえりなさい。待ってたのよ」
「お邪魔してます」
何かと思えば生命保険の話だった。
女性の保険屋は多い。
初めは警戒していた昭彦だったが、妻の友だちという事もあり断りにくいという事と、子供が産まれるのだからと言われた事。そして何より妻の洋子が、かなり強く契約を望んでいる事を熟慮し、昭彦は観念してハンコをついた。
子供が出来ると途端に男は責任が重くなる。
(本当に父親になるんだなぁ)
昭彦は、今更の様だが父親になる心構えをしなくてはと、思った。
最初のコメントを投稿しよう!