かたつむり

5/20
前へ
/20ページ
次へ
カタツムリの世話は難しくない。 産卵期以外なら土すら必要ない。 プラスティックのケースに木の枝とレタスでも入れておけばいい。 それにしても昭彦は、これ程見事なカタツムリは見た事が無かった。 日本人が「カタツムリ」と言われ想像するのは、例の小さなカタツムリだろう。 カタツムリは実は巻貝の一種で外国には、かなり大型の個体も生息している。 日本のカタツムリは指でグイと押せば簡単に殻が破けてしまう。 大抵の人は、そんなカタツムリを想像するはずだ。 あじさいの葉の裏にひっついているアレだ。 だが、昭彦に送られてきたカタツムリは殻の大きさだけでも10センチ程はある。 殻の厚みも巻貝のそれだ。 ハンマーか何かで叩かない限り割れないのではないだろうか。 「頼もしいなぁ」 子供の様に目を輝かせて、昭彦はカタツムリをいつまでも眺めていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加