かたつむり

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「気持ち悪い」 昭彦に妻の洋子が眉間にシワを寄せて言う。 女性が、このての生物を嫌う事は昭彦もよく理解していた。 「まあ、そう言うな。こう見えて可愛いところも有るんだぞ」 カタツムリが殻を左右に振って見せた。 「そら、早速アピールしている」 もう昭彦はカタツムリに釘付けだ。 こうなると、そろそろ名前も付けねばなるまい。 「昭彦と洋子でアキコにしようか」 「お願い。そんなのに名前なんか付けないで」 洋子は明らかに不快な表情を昭彦に示す。 「そういう言い方をするなよ」 昭彦にしてみれば、カタツムリを送ってくれた後輩に対する義理もある。 あまり邪険にされると嫌な気持ちになる。 「ごめんなさい。でもこの子の事も考えて」 下腹部をさすりながら洋子は夫に訴えた。
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