15人が本棚に入れています
本棚に追加
「気持ち悪い」
昭彦に妻の洋子が眉間にシワを寄せて言う。
女性が、このての生物を嫌う事は昭彦もよく理解していた。
「まあ、そう言うな。こう見えて可愛いところも有るんだぞ」
カタツムリが殻を左右に振って見せた。
「そら、早速アピールしている」
もう昭彦はカタツムリに釘付けだ。
こうなると、そろそろ名前も付けねばなるまい。
「昭彦と洋子でアキコにしようか」
「お願い。そんなのに名前なんか付けないで」
洋子は明らかに不快な表情を昭彦に示す。
「そういう言い方をするなよ」
昭彦にしてみれば、カタツムリを送ってくれた後輩に対する義理もある。
あまり邪険にされると嫌な気持ちになる。
「ごめんなさい。でもこの子の事も考えて」
下腹部をさすりながら洋子は夫に訴えた。
最初のコメントを投稿しよう!