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「おい、今は余計な事を考えるな…俺だけを考えていろ」
「っ…」
声を押し殺す。
優しい手つき…愛されてると伝わってくる。
私は涙を流した。
そしてもう残り少ない時間を私達は沢山沢山愛し合ったのだった…
「貴方は子供ができるならどちらがいいですか?」
「?」
沢山愛されたあと…私は呟く。
男は私の言葉が理解出来ないのか首を傾げていた。
私は小さく笑う。
「私…もしかしたら貴方と離れている間に…子供が出来るかもしれません…そんな予感がするんです」
「…」
「子供…嫌いですか?」
「わからない…子供と戯れた事ないからな…だが…子供が出来れば変われそうな気がする」
横目でみる。少し口元が緩んでいた…
その未来図を頭に浮かべているのだろうか。
「出来るなら、俺は女の子がいい」
「何故?女性は憎しみの対象じゃなかったの?」
「生まれた者は無垢で純粋で…誰にも染まっていない。だから女の子がいい……信じられる気がするから」
「…じゃあ祈って…生むなら女の子を…生まれるなら女の子を……」
「……あぁ」
初めて……彼が心の底から笑ったのかもしれない。
私達は暫くの間、互いの温もりを感じながら眠りについた。
しかし神様は意地悪だったのだ。
せめて1日だけは平穏に暮らせたらと思ったのに、私が夕食の準備に取りかかろうと冷蔵庫をあけた時だった…
ドンドンドン!
激しいノック音。
インターホンがあるのに使わない事に違和感を感じた。
私は恐る恐るドアスコープから外を覗く。
「!?」
瞬間、固まった。
「どうした?」
「あ…け…警察…が」
「そうか」
特に驚きもしなく、私の手を掴むと、突然手錠を椅子の足に片方かけるともう片方を私の手首にかけた。低い位置にかけたから私はバラスンスを崩し、フローリングの床に倒れる。
「な…にを」
「捕まるなら一人で十分だ」
そういうと男は私の胸元のボタンを3つ外すとわざとらしく胸元を露わにさせた。
そしてこの場で犯されたとでも理由をつける為に胸元や首にキスマークを何個か付ける。
「っ…なんで」
尚もドアが叩かれる。男は舌打ちすると私から離れた。
そして私を見下ろして悲しみを含んだ目で言った。
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