蘇る忌まわしい記憶…

3/6
前へ
/82ページ
次へ
「妊娠…」 「うん…女の子だといいわ…やっぱり女の勘は当たるのね」 「あぁ…まだ信じられない」 「私産むわ…あなたとの子だから」 「有難う」 お礼を言うなんてらしくない。でも私も嬉しさに微笑んだのだった。 しかし帰り。 私は母と対面する。 「お母さん…」 「なんであなたが…」 どうやら後をつけていたらしい。 「あなた…妊娠してるの?」 「して…ないわ」 「嘘よ。子供の事なんだからわかるわ。あの男の…子でしょ?無理矢理孕ませられたんだわ…可哀相…すぐに病院へいって中絶を…」 「お母さん聞いて!」 私は自分でも驚く声が出た。 「無理矢理なんてされてないわ。私達は愛し合ってるの」 「な…にいってるの」 「愛し合ってるの…だからこの子を産ませて…お母さんも女なら分かるでしょ」 わかってくれる… そう甘く考えていた。 しかし母は何かを否定するように首を振ると私に言う。 「わからない…わからないわ…犯罪者の子供を産んでどうなるの。子供が不幸になるだけでしょ」 「なら中絶しろっていうの。折角産まれてくる命を殺すの!」 「そ…れは」 言葉を失う。 母はわかっているんだ…自分もお腹を痛めて産んだ事があるからわかるのだ。しかし相手が犯罪者……それが母は納得できないのだ。 「いいから取りあえず病院に行きましょう。あなたは疲れているのよ…どうかしているわ」 「いやっ……やめて!」 「いいから来なさい!」 「いやっ!」 私は無理矢理母を待たせていたタクシーの中へ無理矢理押し込められると聞いた事のない病院名を言われタクシーはそこへ向かった。 ……タクシーの中ではお互い無言。病院についてもそう。 しかしなんか嫌な場所。患者が不気味だからだろうか。 ぶつぶついってる者や叫んでるものもいる。精神がおかしいんじゃというくらい。 「!」 精神でふと気付く。 まさかここは…
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加