無垢なる少女を抱きしめて―…

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あれから…今五年の月日がたった… ここは雛沢村という小さな村のドがつく田舎。 そこには年寄りが多く、大半の若者達は都会へと旅立った。 この村も若者がいなければきっとそのうち誰もいない村へとなってしまうだろう。 そんな小さな消えてしまいそうな村に俺は五年前から住み着いている。 「いんや~…あんた最初きた時とつがって上手くなったな~畑を耕すの上手くなったー」 「あ…有難うございます」 「でんも、まだまだだべ。まだ荒さがのこっとる。耕す時はこう…優しく慈しむようにな。じゃないと畑の女神様が怒って美味しいものを与えてくれない」 「畑の女神様、ですか?」 「んだ。やり方がわかっても適当にやったら味が落ちる。ただ耕すだけでもその耕し方で全てが変わるとオラは思うんだ」 農作業に信念を貫いているおやじさん。 俺にはまだわからないがそれが農作業を愛する人の言葉なのだろう。 農作業なんて…農業なんて地味で汗だくになって休みなくて毎朝5時なんて当たり前で臭くて……ろくなもんじゃないと思っていた。 しかし…それを毎日当たり前のように真剣に…真心を込めて全て注ぎ込むこの村の人…おやじさん達に俺は今じゃ感心して最近では自ら手伝いをしている。 大変だが意外と難しくやりがいがある仕事だった。 「すかし今更だけどなんでこんな田舎にきたんだ?何もないつまらんとこなのに」 「だからですよ。自然に溢れて隔離された世界で居心地がいいんだ……あ」 隔離…なんて失礼な事をいってしまった。しかしおやじさんは気にした様子もなく、にんまりと笑った。 「変わってんな~、都会の方が色んなものあるときく。こんななんもないとこを居心地いいなんて変わってんな」 「そんな事ないですよ。確かに都会は色んなものが置いてあって不便はしてません。でも人がごみごみしていて疲れてしまったんです……田舎のものは都会へ…都会のものは癒やしを求めて田舎へいく……だから俺はこの村にきた事が良かったと思ってます」 それは本心。しかしそれだけじゃなかった。この村にはテレビはあっても見るものはあまりいない。つまり情報には疎い。 この村にきた時、誰もが俺の顔をみても反応しなく、むしろ歓迎を受けた。 「お前さんは優しいな」 「?」 「優しい目をしている…」 そうだろうか。 それは俺が人殺しなのを知らないからだ。
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