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それだけ告げると彼女はくるりと背を向け、一目散に駆けだしていった。
その手には、僕の大切な……下手すると命より大切な……
「それ僕が不利過ぎるだろ!?返せって!メガネ……メガネっ!」
国民的に有名な漫才師のフレーズを、まさか自分が口にする日が来るとは……これだから人生、何が起きるかわからない。
いやそれよりも、早く彼女を捕まえないと。
視界に入るものすべてがぼやけて滲んで歪んでいる。ただでさえ薄暗いのに、この状況であの弾丸の様に飛んでいった彼女を捕まえなくてはならない事に、僕はいささか眩暈にも似たものを感じていた。
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