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「どうしたの?追いかけてこないならコレもらっちゃうね」
「誰が渡すかっ!そこ動くなよ?!」
「動くなと言われて『はい、わかりました』なんて言ったら、鬼ごっこは成立しないよね」
ケラケラという笑い声と、軽やかな足音がどんどん遠ざかっていく。
「ま……マジですか……?」
自慢じゃないが、僕は滅法運動系には弱い。弱いと言うよりできない。できないと言うより……ああ、もういいや。
とにかく、あの跳ねるように行ってしまった彼女を僕が捕獲することは、奇跡が起こるに等しいと思う。
「あのメガネ……高かったんだけどなぁ……」
「やだ、もう降参なの?」
背後から掛けられた声に、僕は思わず振り返った。
そこにはメガネを片手にニヤニヤと笑う彼女。
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