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「いつの……間に?」
「さあ?」
「……返せ!」
力一杯伸ばした腕だったが、ひょいっと後ろに軽く跳ばれてあっさりと躱されてしまう。
「乱暴ね。モテないわよ?」
「乱暴じゃなくてもモテないから気にするな!」
何度も何度も手を伸ばすのだが、僕の緩慢な動きを躱す事など、彼女にとっては造作もないようであった。
まるで子供とダンスを踊るように、ひらひらとステップを踏む。
ハアハアと息を切らす僕と対称的に、優雅に微笑む彼女。こんな状況にあって、その微笑みに見とれてしまうなんて事は絶対にあってはならないのに……
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