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「俺は男だけど」
少女の顔立ちをした人間は軽くそう答えた。
「君みたいな子は売れるんだょね~それも高く」
男は全く話を聞いていない。人身売買の話をしているのだろう。
実際この地域では良く行われている事だ。
「だから着いてきてくれないかなぁ?」
男はニヤニヤとしながら話を続ける。
「はぁ~」
少女の顔立ちをした少年は面倒臭そうに溜め息をついた。
声も高い為にやはり少年とは周りから見ただけでは分からない。
しかし次の瞬間、
世界が凍りついたーー
「何だ?」
男は周りを見渡す。車、自転車、人間、建物それら全てが止まっていた。
「よう…おっさん」
「!??」
見ればさっきの少女の顔立ちをした少年が男を見ている。
その視線は刺すような眼光でとても幼さが残る子供のものではなかった。
また人間の持つものとも違う…異質の何かだった。
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