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「任務―完了だな」
少年はそう言うと空に手をかざした。
その瞬間止まっていた世界が動き出す。
何もなかったように周りの景色は動いていた。一人の人間が死んだというのに―…
まるでその人間などハナからいなかったような感じで…。
少年もまた何事もなかったように歩き出した。
そしてあるビルに入って行く。
「お帰り」
「ただいま、老師」
そう言ってニコリと少年は笑う。さっきとは別人のような感情の現れ方だった。
「仕事は…片付いたか…?」
老師と呼ばれた人間は少年に向かってそう言った。
「あぁ…全員終わった」
全員…その言葉の意味は分からない。
老師と呼ばれた人間は立ち上がった。
スラッとした身長で目付きは鋭さを感じさせる。
30代後半とも取れる整った若い顔立ちをしていた。
「老師…所でそれはやめてくれないか…?私は一応…」
「1000才だろ?」
少年は老師の言葉を無視してさも当然のように言った。
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