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「……あの時も俺は“三浦”を殺したって言って泣いていたか?」
「……そういえば、そうだったな……」
一馬の質問に自信無さげに返す翔。
「アルバム借りるぞ」
一馬は台所から立ち上がり、翔の部屋にダッシュする。綺麗に並べられた本棚から『中学の卒業アルバム』を取り出した。
「…………やっぱりかよ……」
予想は的中し、事実は確信に変わった。
“三浦”
だけが中学のクラスメイトから、綺麗さっぱり消えていたのだ。
(何で……こんな大事なことを、忘れてたんだよ!)
自分が犯してしまったことを一馬は忘れていた――
ソレが誰も知らない“罪”だろうと自分だけは忘れないって決めてたことなのに。
だから、自分を襲って来た敵からも逃げ続けていくと決めたのに――
“戦わなければ傷つけることもない”
ソレが自分を“罪”を重ねない唯一の方法だと思っていたから――
いつの間にか“力”を持っていても“戦わない理由”を忘れていた一馬は情けない気持ちでいっぱいだった。
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