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「……おい!突然……」
「…………わり、帰る!カレー自分で食べてくれ」
一馬はあとで追いかけて来た翔にアルバムを押し付けた。そして階段から駆け下りるとさっさと翔の家を後にする。あっという間の出来事に翔はただ唖然とするしかなかった。
「………分かったみたいだなぁ」
一部始終を観察していた緋炎は嬉しそうに言う。
「だな」
エースも短い返事でそれに反応した。
「……ん~?あんまり嬉しそうじゃねぇなぁ?」
少し意外そうに緋炎はエースに尋ねる。
「……今までのヤツとちょっと違ってるから珍しいなと思ってな」
“力”を持っていても“人間”として暮らしてきたヤツは自分の“罪”を知った途端に絶望する――
しかし、一馬には“ソレ”がなかった。
ソレがなんとなくエースには気に喰わない。
「たまには違う“選択”が見られそうな予感がするな!」
しかし緋炎の方はそれすら楽しんでいるように見える。
「………ま、どのみち“魔王”なんて力を持ったヤツに何かを選ぶ権利なんてねーけどな」
エースは冷たく言い放つ。春の中間だというのに……まだ寒い一夜の出来事だった――
少年たちが選ぶ答えを月夜は見守っている。
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