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あのとき。
涙はいつか枯れるというのは嘘だね、とあなたは言った。
確かに、あなたの瞳からは涙が次から次へと溢れていた。
嫌だ。
おいていかないで。
傍にいて。
……この言葉を、あなたは何回 叫んだだろう。
僕はどうすることもできずに、あなたの傍から離れていった。
張り裂けそうな想いを引きずって。
あれから三年。
あなたは今でも、ときどき僕に会いに来る。
静かな笑顔で、小さな手をひきながら。
……“もしも、願いが叶うのならば”
何回、そんな想像をしただろう。
何回、そんな夢をみただろう。
叶うはずなんて、ないのにね。
『……今すぐ、会いたいです。』
僕の声は、誰にも届かない。
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