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メールなんかしなくても
相手は私の言ってることも表情も解るらしい
ただ…ただ…怖い
<<そんな怯えた顔すんなよ>>
これがしないでいられるか
彼氏気取りかコイツは
「なんなんだよ、あんた」
<<だから…身近にいるっしょ(笑)なんで怖がるのさ>>
身近?…「家の中?」
この部屋にでも居るって言うの?
<<そ、いるよ♪>>
「!!!!!
」
<<そんなに驚くことか?
もとはと言えばアンタが俺を連れてきたんだろ?>>
メールしたことを後悔した
連れてきた?何時?
もう嫌だ、逃げ出したい
今すぐこのベランダから飛び降りてしまいたい
<<頼むから飛び降りたりすんなよ、俺は助けられないから>>
「……どういうこと?」
この部屋に居るなら
飛び降りそうな私を止められるのでは?
なんで出来ないの?
<<動けないからにきまってるじゃん>>
動けない?
それに何でいちいちメールなの?
動けない上に声も出ないっての?
もう訳がわからない…
逃げたい恐怖と
知りたい好奇心
ごちゃ混ぜになってぐらぐらする
僅かに勝ってしまった好奇心が
私の口から這い出てた
「アンタ…何なの?」
<<俺は君の手の中に>>
「…どうなってんのよ…」
声も聞こえるはずた
私の表情も解るはずだ
動けないのは当然だ
喋れないのも…
みんなみんな
そういうことか…
恐怖も何も、もう解らない
投げることもできず
小さな画面を、ずっと見ていた
「付きまとってたのは私?」
だから言っただろう?
もっと身近にいる
側にいるって
<<追伸:愛してる>>
買ってくれたその時から
―END―
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