プロローグ

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その日は秋雨の降る、ありふれるた一日だった。 だが今思えば、僕の人生を変える最高の日だったのかも知れないーーーー 銀行の仕事はお金に対してとても厳しい。 人のお金を預かっているのだから、当然と言えば当然だ。 例え一円でも足りなければ、家に帰れなくなる。 一人の計算ミスがみんなに迷惑をかけるのだ。 その日も帰り際にミスが発覚し、僕は足止めをくらった。 金額的にたいした額ではなく、結局支店長が自腹を切ってことなきを得たが、通常の退勤時刻からすでに三時間も過ぎていた。 外に出た僕は、ぱらつく雨を無視して、銀行の裏手に止めてある自分の車へと急いだ。
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