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車の鍵を開けドアノブに手をかけた時、僕の車の前方に大きく揺れる白い影が見えた。
不思議に思った僕はゆっくりと覗き込む。
その影は、地面にしゃがむ白いスーツ姿の女性だった。
雨の中傘もささず、長い髪が雨粒に濡れ顔に張り付いている。
何かを捜しているのか、僕の存在には全く気が付かない様子だ。
彼女が居ては車を動かす事も出来ない。
「なにかお探しですか?」
僕が仕方なくかけた言葉に、彼女は振り向いた。
「ハンコを落としたみたいで・・」
どれくらいの時間捜していたのか、彼女の服はずぶ濡れで、髪から滴り落ちる雨粒が、彼女の必死さを物語っていた。
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