第1話 メールを打つ女性

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仕事も終わり、電車に揺られていた。 とある駅で一人の30代の女性が乗って来て私の隣りに座った。 その女性は携帯を取り出しメールを打ち出した。 何かしら打ち込んだ画面を私が見えるように差し出す。 『この電車新宿まで行きますか?』 そう打ってある。 私も携帯を取り出し返事を打つ。 『行きますよ』 画面を彼女に見せた。 『ありがとうございます。』の返事。 世の中便利になったものだ… しばらく黙って電車に揺られていたが、思いきってメールを打つ。 『どこかでお茶でもどうです?』 彼女に見せた。 彼女も返事を打つ。 『ごめんなさい。タイプじゃないから…』 なぜか、ちょっぴり涙が出た。 その後は新宿まで彼女と一緒に電車に揺られていた。     おわり  
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