序章:始まりを告げる少女

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 ここに、一つの世界がある。  名前を【ミレスティア】と呼ぶ。ミレスティアには精霊が存在し、人々は精霊の力を借りて様々な事をしている。  あるものは、人々に役立てる為。 あるものは、世の神秘を追求する為。  ───そして、あるものは破壊の為。  国と国が争い。そのたびに血が流れる。それを、ただひたすらに繰り返す。  無意味だと分かっていて繰り返す。人とは、そう言う生き物だからだろう。  ミレスティアに存在する【ガラナ大陸】に、小さな村【ジュネバ】が存在する。そこに、後の未来を変える少年がいた。  ───少年の名は『クラウン・バカルディア』  自己流の剣士で、毎日を狩りと昼寝で過ごしている少年。剣士と言うよりは、猟師に近いかもしれない。村の人も、クラウンを剣士とは思っていないし。  実力は十二分にある。ただ、クラウン自身それ以上鍛えないだけ。  クラウンにとって、【ジュネバの森】に住むモンスターは、余裕で倒せるから。必要以上に力を求めたことがない。  その日、一日分の食料が取れればそれで充分。  それがクラウンの考え。  青空のように澄み渡った蒼い髪を、森から吹く風に吹きつけられながら。運命の日である今日も、クラウンは森へと狩りに出た。  一人暮らしである小さな木造建築の家を、剣だけ持ってクラウンは出発した。  森へと進む足取りは、いつもと変わらず。今日も獲物が取れる事を、心に願ながら【ジュネバ】の出入り口である、木で出来た門へと向かう。  門はかなり昔に作られており、所々風化してボロくなっている。  自分に与えられた仕事をこなしている村人達を横目に、歩いていると。ふと見慣れぬ人影を門の方で見つけた。
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