7人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
ここに、一つの世界がある。
名前を【ミレスティア】と呼ぶ。ミレスティアには精霊が存在し、人々は精霊の力を借りて様々な事をしている。
あるものは、人々に役立てる為。
あるものは、世の神秘を追求する為。
───そして、あるものは破壊の為。
国と国が争い。そのたびに血が流れる。それを、ただひたすらに繰り返す。
無意味だと分かっていて繰り返す。人とは、そう言う生き物だからだろう。
ミレスティアに存在する【ガラナ大陸】に、小さな村【ジュネバ】が存在する。そこに、後の未来を変える少年がいた。
───少年の名は『クラウン・バカルディア』
自己流の剣士で、毎日を狩りと昼寝で過ごしている少年。剣士と言うよりは、猟師に近いかもしれない。村の人も、クラウンを剣士とは思っていないし。
実力は十二分にある。ただ、クラウン自身それ以上鍛えないだけ。
クラウンにとって、【ジュネバの森】に住むモンスターは、余裕で倒せるから。必要以上に力を求めたことがない。
その日、一日分の食料が取れればそれで充分。
それがクラウンの考え。
青空のように澄み渡った蒼い髪を、森から吹く風に吹きつけられながら。運命の日である今日も、クラウンは森へと狩りに出た。
一人暮らしである小さな木造建築の家を、剣だけ持ってクラウンは出発した。
森へと進む足取りは、いつもと変わらず。今日も獲物が取れる事を、心に願ながら【ジュネバ】の出入り口である、木で出来た門へと向かう。
門はかなり昔に作られており、所々風化してボロくなっている。
自分に与えられた仕事をこなしている村人達を横目に、歩いていると。ふと見慣れぬ人影を門の方で見つけた。
最初のコメントを投稿しよう!