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「勿体ぶらないで欲しいね。僕は今、極北端ネグリアの情報収集で時間がないんだ。」
ヘッドホンの男がキーボードを打ちながら言った。
「そう言うなヘヴィ………今回の任務は訳が違うんだ。」
シグナにそう言われヘヴィと呼ばれたヘッドホンの男はフンと鼻を鳴らした。
しかし、キーを叩く手が止まることはない。
その様子にシグナは小さく溜め息をつきーーそして呟いた
そしてその直後、キーを打つ音が止まる。
ガタンと銃器が床に落ちる音と共に。
ヘヴィはゆっくりとヘッドホンを外し、シグナを睨んだ。
まるで親の敵でも見るかのように。
眼鏡をかけた、色の白い端正な顔立ちをしている彼は、屈強で色の黒いシグナとは対象的である。
しかし、彼の顔には大きな傷跡があった。左目から真っ直ぐに下へ向かう傷。
「フン。どうやら幻聴では無かったようですね。」
そう言ってニヤリと笑う。
「こんなに早く……いや、そうでないのかも知れませんが…」
そこで[死神]の方を向いた
「もう一人の[孤国]…[国殺し]に復讐の機会が訪れようとは…」
彼は顔の傷をなぞりながら不気味に笑った。
ーーーーーー
「ーーでだ」
シグナな一通りの概要を述べて、そこで一度周りを見回した。
「この任務、[死神]を[国殺し]にぶつけることにした。異論は?」
ヘヴィは我関せずと、[国殺し]についての情報を集めている。
[死神]はまるで他人事であるかのように、欠伸をした。
「リリィとルルは?」
双子は小さく笑っていった。
「[国殺し]に立ち向かおうなんて、命がいくつあっても足りない。」
その言葉を聞いて、シグナは頷いた。
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