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「どうだ。何か分かったか?」
あの後、リリィとルルが[死神]を連れて部屋から出て行き、今はシグナとヘヴィの二人である。
少し間をあけて、ヘヴィはキーを叩く手を止めた。
「ダメですね。[国殺し]で検索すれば、ヒット数はゴマンとあるんですけど、どれもこれも噂話や伝説ばかりでね。ハッキングも片っ端からしてるんだけど、機密レベルは[死神]と同程度ってとこ。」
そう言って眼鏡を拭きながらため息をついた。
「せめて外見くらい分からないのか?」
「正直、厳しいね。さっきから特徴が書いてあったりするけど、何処まで本当か。」
シグナの問いに、ヘヴィは少しの逡巡の後答えた。
「ま、大体に共通してるのは『身長二メートルを超える、全身筋肉の鎧で覆われた巨漢』って奴か。」
「如何にもだな……」
シグナはどこか釈然としない表情になる。
「一般ページハッキングしても得られる情報はこの程度。かといって国家機密レベルの情報ハッキングはリスクが高すぎる。実際、どうしようもないね。」
そんな溜息ともつかない呟きが部屋に妙に響いた
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