本編・女

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兵士・国民の総数 ……0.5億人弱 国土 ……約20万平方キロメートル 光化学兵器を含める強大な軍事力 これがバリツの現状であった。 確かに現在、この世界は自然が多く、人口物が殆どない、太古の地球のように見える。 ーーーが、しかし、それはあくまでも「見た目の上」では、だ。 ひとたび国に入ればそこは超高度科学世界。 この次元での最大値であるだろう科学的・化学的技術が駆使された世界だ。 どの国ーーー例え五大国でない無数の小国ーーーであっても、核兵器くらいなら何の造作もなく創り出す事が可能なのだ。 「そんな世界」の国と闘うのは、まだ年端も行かない六歳程度の子供。 ほんの最近まで少し魔法の使い方に才があっただけの、だ。 しかもたった一人 極北端ネグリアの誰もが、イレギュラーの処理に成功したと確信した。 ーーーが。 ーーーイレギュラーは、本当にイレギュラーだったーーー 小さな小さな[孤国]がバリツの戦闘最前線に到着したと連絡から僅か10分後。 様子をーーーいや、「しっかりと死んだか」を確かめるために派遣された兵士からの震える、何かに怯えた声での連絡。 「敵が……バリツ軍前線が……消滅しました……」
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