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極北端ネグリアが突如として動きを見せ始めた理由は不明。
他の四大国は直ぐにでも連携し、戦争の大規模化を抑えようとしたが、ここで問題が生じた。
ーーー[国殺し]
その存在は大きい。
ーーー大きすぎた
ネグリアが動き始めて1ヶ月。
ネグリアに最も近い大国、アトラヒィックが海洋から攻撃を仕掛けた。
アトラヒィックは太平洋の東。
ハワイ島近海に存在する人工島を拠点とした軍事海洋国。
ネグリア近海へと海軍を派遣し、近距離から精度の極めて高い近距離誘導弾を一斉掃射した。
が、ネグリアを囲うこの世で最高の硬度を誇る鉱石[クリヤ]の防壁により、全て拒まれたのだ。
そのダイヤモンドに勝る物質で構成された防壁を、国民に被害を出さずに破壊するのは不可能であると判断したアトラヒィック軍勢は、大陸に上陸した。
ーーー刹那
先頭を行く部隊が、爆裂音と共に吹っ飛んだ。
まるでギャグ漫画のような光景。
戦車を改良した最新鋭の陸上兵器が宙を舞い、屈強な兵士達の肢体が、鮮血と共に消える。
悲鳴を上げることすらできなかった…
別世界の様子を、画面越しに見ているような感覚に酔った他部隊の兵士は、現実世界とのズレを認識し、修正するのに時間が掛かった。
しかし、そんな事をしている間に、彼らはこの世の住人では無くなっていたーーー
ーーー死への恐怖も、目の前の惨状も、痛みさえも認識出来ぬままに
『ネグリアを鎮圧、最低でも[国殺し]の外見的特徴の確認』
そんな事を考えていたアトラヒィックの上層部の計算は完全に裏切られ、上陸した兵士は全滅。
海上からの、威力だけなら、核弾道の十分の一に達するミサイルを牽制に、辛うじて逃げ延びた兵士達も、[国殺し]を見たものは居なかった。
ネグリアの損害は防壁に小さな傷が出来たかどうか、アトラヒィックの損害は数千の死者と兵器の大量損失。
こんなふざけた話を聞いて、手を出す国は無かった。
しかしこのままでは全世界がネグリアに支配される可能性がある。
それを阻止する方法は、たった一つしか無かった
ーーーもう一人の[孤国]、[死神]に[国殺し]を抑制、もしくは抹殺させるーーー
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