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極北端ネグリア
極南端カノン
ーーこの世界に存在する最大の二国。
両国が全面戦争なんて馬鹿げた事態になることだけは、何があっても回避しなければならなかった。
領土も、国民数も、兵器もーーーそして[孤国]の存在すらも同等。
戦争の泥沼化は緋を見るより明らかだった。
そんな事になれば再び[世界終焉]
それも開闢のない終焉、つまり絶滅だ。
それを避けたいのはネグリアも同様であった。
そして最終的な結果は至極単純で、勝敗もはっきりするモノだった。
ーーー[死神]と[国殺し]の一対一の対決ーーー
例え『一国と同様の力』と言えども、戦いに置いては、個人対個人に過ぎない。
世界への被害は最小限に抑えられる。
更にその勝負の勝敗は、そのままネグリアとカノンの戦争の勝敗になるのだ。
[孤国]を有する国と有しない国では、その戦力に圧倒的な差が出来る。
敗れた国、つまり[孤国]を失った国は他の三大国と何ら変わりないのだ。
この情報は隠蔽など出来る筈もなく、僅かな情報漏れから世界中に広まった。
それまで[孤国]の出陣が事前に流れたことはなく、国からの任務を秘密裏にこなしていた二人の[孤国]の年齢、素顔は愚か、体格すらも知るものは数人居るかどうかだ。
何故そんな事ができたのか?
普通はそんな事は無理だ。
ーーーー紛れているのだ
普段[死神]も[国殺し]もーーーーーーただのコーカスとして、国民としてーーー
ある社会中に。
ある人混みに。
ある店の中に。
あるバス内に。
ある電車内に。
ある学校内に。
ある家の中に。
街中ですれ違う…
挨拶を交わした…
自分の教え子の…
よく話す友達に…
ーーー昨日、話していた…
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