挿入章・魔法・正体

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ーーカノン国務防衛情報統括局 何百という情報端末が並べられ、司令官達がそれぞれを操作していた。 数え切れない大小の配線コードが、切り捨てられた髪の毛のように床を這っている。 巨大なセンターモニターにはそれぞれの情報端末から、各部隊が集めた情報を司令官が整理して送信されており、目まぐるしい速度で画面が更新されていく。 その情報は粒子に変換され、中央演算装置から発信される。 そして宇宙空間にある巨大演算デバイスである情報統括衛星に送信され、他五つの衛星を経由した後、完成されたデータとして返ってくる。 更にそのデータは国務防衛情報統括局の敷地内にある、巨大な情報受信デバイスに受信された後、国の主要機関へと高速配信される。 ーーーただし、この一連の作業をこなすのは、命のない機械では不可能であった。 それを可能にしたのがーーーそして何千年振りかの発明。 [完成人工頭脳] これは[世界終焉]時には無かった技術であり、[コーカス]になって初めて可能となった唯一の技術。 この世界には[情報断層]という世界がある。 この世界の全てを計算し、事象を正しく行わせるための世界である。 例えばこの瞬間、投げたボールが突如としてUターンしたり、重量に逆らって進み続けたりするだろか? 答えは勿論‘否’ では何故、‘否’なのか? 答えは、‘そう言うことになっているから’ では何故、‘そう言うことになっている’のか? その解答こそが、[情報断層]の存在。 例えば、枯れ葉が一枚、落ちる瞬間。 その枯れ葉が地面に落ちるまでに行うアクションを全て計算できるだろうか? 風をうけて速度を変え、空気抵抗で速度を変え、温度で速度が変わる。 そんなモノを計算できるだろうか? 答えは‘不可能’だ。 計算できるハズがない。 それを計算するには、この地球上の全てを把握していなければならないからだ。 その風はどこで発生したのか?どの要因で発生したのか? その要因は何故発生したのか? その要因を発生させた要因は何故発生したのかーーー 半永久のループ。 何故、人類の目の届かない場所でも、全ての事象が、人類の創造した[数式]に従ってくれるのか? それが[数式]に従っているわけでなく、‘そういうモノ’だと言うならば、 ーーー何が‘そういうモノ’を創ったのか? それは命の正体を聞くような質問
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