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「ーーー…ゅ…綺樹」
「うおっ!?」
「なにをしてる。しっかりしろ。呆けるな」
「あ…あぁ、わりぃな…」
突然だが俺こと、瀬葉 綺樹(セハ キジュ)は今、二泊三日の旅行に来ている。
行き先は《隣界》。
近年発見された『アナザーワールド』の中でも気軽に行けるって事で有名な場所だ。
けど、やはり別世界。
街並みが俺達の世界とは違った感じで…。
そんな並々ならぬ街並みを一言で言い表すなら“王国”…って感じだな。
《隣界》の中心にそびえ立つ、まごう事なき天に向かう巨大な城。
それだけならなんとかどっかの遊園地みたく思えるかもしれないが、その周辺の街並みがそれを許していない。
それらはまるでファンタジーの世界のような造りをしていて、家から始まり、大通り、路地、水路、果ては住民の服装までもが全力でファンタジーっぽさを主張していやがる。
なにせ鎧着てたり、杖持ってたり、魔法使ってたり…。
魔法だぜ?魔法…。
外壁出たら魔物とかに遭遇しそうだ…。
ポツポツと武器持ってる人いるし……いやマジで。
十数年前にこんな風景みたら、娯楽施設かなんかと勘違いすることは請け負いだな。
けど、今は『アナザーワールド』が発見されたからなぁ……。
もう馴染んじまったな…。
ああ……慣れって恐ろしい…。
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