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アリスはボロボロの勇者を引きずるように運んでいる。
……私に共感した者がここまで必死になっている。
それを見ていられなくなった私はとうとうアリスのもとまで行き、――勇者に治癒魔法をかけ、客室のベッドまで運んでしまった。
このときの動作は今の自分にも理解できない。そのあと、「ありがとうございます」と笑顔で頭を下げたアリスを見て、なぜか顔が熱いと感じたのもよく覚えている。
後で損失を調べてみると、怪我をした者は数百、死んだものは百近くに及んだ。なお、勇者の仲間らしき者たちは皆、アリスに説得されなんとか私を倒すことはやめたらしい。
多くの犠牲には心が痛むが、まあこれでよかったのかもしれない。
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