魔王の願い

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 私は魔王。ただいま平穏な生活を謳歌中だ。  最近妻が教えてくれたことだが、どうもニンゲンとは我らと寿命が同じくらいらしい。これでなにも気にかけず暮らせるというものだ。小躍りでも始めそうになったのは私の心の秘密だ。  今では勇者たちとも友と呼べる間柄。時折遊びに来てくれるのが私のひそかな楽しみだったりする。 「あなた、そろそろお昼にしましょう」  妻がそう呼んできた。ちなみに珍しいことに彼女は料理は自分でする。  む、それにしてももうそんな時間か。少し他愛のない思い出に浸っていただけというに。  まあ腹もちょうど減ってきたところだ。行くとしよう。 「わかった。すぐ行くぞ、 ――アリス」            Fin.
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