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……もう五年も前の話である。
いつものように侵略を繰り返す我ら。しかし当然ながらニンゲンたちも負けじと攻め寄せることも多い。
その日は、魔王城が攻められた日であった。
「魔王様! ニンゲンどもが大部隊を率い、城に攻め寄せて来ております!」
部下の報告に私は「またか」とため息をつく。
もういい加減やめてくれ。諦めて降伏してくれ。
いつもと同じ日常。毎日どこかで行われている戦い。もううんざりだ。そう思いながらも、玉座に座ったまま部下に命令を下す。
「わかった。すぐ行く。皆に伝えよ。戦の準備を」
このときの私は、まだこの戦いが生むすべての「終わり」に気付かなかった。いや、気付くはずがなかった。
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