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「魔王様、いつものようにですか?」
「うむ。そうしてくれ」
いつものようにとは、極力双方の犠牲を払わず戦えということだ。
始めは不満が多かったが見せしめに部下を一人切り捨ててからは誰も逆らわなくなった。それから四年目なのでおそらく皆も慣れているだろう。
……あの部下には悪いことをした。正直な話、何人も死ぬよりは一人死んだほうが余程マシだと考えねば気が狂いそうだ。
そして戦いのほうだが、我らの勝利に終わった。
当然である。そもそもニンゲンと魔族では力が違いすぎる。魔法を使える勇者たちでなければ簡単には勝てないはずだ。
さて、敵方の捕虜として大将らしき者が引き立てられてきた。思ったより大分小柄で華奢な体つきだ。
「……兜をとれ」
その命令に従い部下が兜を剥ぎ取る。すると信じられない光景が私の目に飛び込んだ。
「馬鹿な。女……だと!?」
兜の下にあった顔。それは糸のように細かな結い上げた金髪、思わず引き付けられそうになる澄んだスカイブルーの瞳、きめの細かそうな白い肌。確かに顔は女だった。
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