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城の外れにある棟は薄暗ぃが毎日一部屋だけ明かりが灯る。
城の物達はその棟には近づくことはできない。
王直々の禁じられた棟なのだから。
しかし棟から花の匂いが漂う度に噂話が尾びれをつけながら広まっていく。
一人の兵士がその棟へ近づいていく。
夜空は澄みきっていて無数の星たちはキラキラ輝き、月の光は男を棟へ誘うように導く。
この兵士は女達の世話係。
左胸には誇らしく金色に輝く紋章がつけられている。
世話係と言っても王様に指示された物を渡す程度だ。
一年前ぐらいに王様からお呼びがかかり功績を称えられ、銀の紋章から金になった。
その時大役を任された。
棟にいる女達の世話係。
この事は家族にも漏らしてはいけないトップシークレットだ。
「はぁ…」
肩を落としながら深いため息をつく。
部屋にたどり着くと男は躊躇いがちにドアをノックした。
コンコン
「はぁぃ?どちら様」
毎度の事だが声を聞いただけで魅了されそうだ。
男は一歩後ろに退いた。
そして震える声で男は言った
「王様からのお届け物です。」
ドア越しから聞こえる女たちの笑い声
「王様からの贈り物、何かしら。何かしら」
足音がドアに近づく
相変わらず笑い声は絶えず
足音はドアの前でとまった。
少しおびえた声で男は言った
「もしよろしければドアを開けていただけませんでしょうか?」
笑い声はピタリととまる。
男は唾を飲み込みその場に立ち尽くした。
男は女達の姿を見たことがない。
王様にも禁じられていたからだ。
しかしコノ部屋の前に立つといつも生暖かい風と異様な香りがする。
手に汗をかき、額にもうっすら汗がでる。
彼女達が何者か知りたい…
「いけませんよ、私たちを見ては・・・」
先ほどの花の匂いを漂わせる声と違い、冷たく凍りつきそうな声
「し、失礼いたしたした!!」
額から汗が頬をつたう
再びクスクスと女達の笑い声が聞こえた
「私達の姿を見てはいけないと王様に言われてるのではないですか?
なら駄目だわ、だって貴方が王様に怒られてしまうもの」
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