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でも、自覚してしまうまでそう時間は掛からなかった。 薪森を一目見るだけでドキッとしたり、薪森に話し掛けられるだけで嬉しくなったり。 薪森に名前を呼ばれると幸せを感じたり。 無意識に薪森の姿を目で探してしまったり、無意識に薪森を目で追ってしまったり。 道場で剣道をしている時以外は、ふと気付けば薪森の事を考えている自分がいた。 誰かに頭の中を支配されるのは初めてだ。 恭平と仲良さ気な薪森を見ると、胸がチクリと痛む。 恭平は薪森の事を好きなのか、と考えると胸が痛む。 薪森は恭平の事を好きなのか、と考えると胸が酷く痛む。 恋愛に疎かった筈の自分が、嫌でももう自覚せざるを得なかった。 僕は恭平に嫉妬している。 これが恋か、と。 初恋を知ったのは小四の初冬。 時々甘くて、基本的に苦い、幸せだけど障害だらけの初恋。
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