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「遼ー!」 放課後、教室から廊下に出た途端に背後から呼び止められた。 初々しい学ラン姿の恭平と、セーラー服姿の薪森だ。 「遼、剣道部に入部届け出す?」 「明日出す」 「道場の方と両立させるんだろ?大変じゃね?」 「まあ……忙しくはなるけど」 「頑張るなー。充分強いのにまだ頑張るのかよ」 「まだまだだからだよ。両立させてる人なんか沢山いるし」 「え、そうなの!? すげーなー」 僕の剣道への執着を知った恭平は感心し切りの様子だ。 確かに優勝は何度も経験したが、小学生と中学生以上とでは競技人口もレベルも全く違う。 上には上がいて、歳を重ねれば重ねる程に努力しなければいけないのは当然の事だ。 それに。 「これからは剣道してる所学校でも見れるね。覗きに行っちゃおうかなー」 期待してくれる薪森に、実力を上げ続けて行く自分を見て欲しい。 もっと欲を言えば、男として見て欲しい。 「柊平も入学して来たら面白くなりそうだなぁ」 「鬼の小木原先輩も見られるしね」 二人の絆に少しでも入りたい。
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