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入学式でも薪森は三百人近い生徒の中で一際目立っていて、男子からも女子からも注目されていた。 他の女子達と比べて髪や肌や瞳の色素が薄く、フランス人形の様な顔立ちで手足も長いので必然的に目立つ。 「クラスの奴等にもジロジロ見られてたもんなー」 「うん。何かちょっと嫌だった」 「下品な事してドン引きさせれば見られなくなるんじゃね?」 「それはもっと嫌」 薪森を弄る様に話す恭平の顔に笑みは無く、嫉妬の様な感情を隠している事が窺える。 小学生の時とは違い、中学生ともなると不安になるんだろう。 「でも今日からあんま男に勘違いさせるような事しない方がいいと思うぞ?小学校とは違うんだし」 「え?今までだって勘違いさせようとした事無いけど」 「桜がそうでも、相手は勘違いするかもしんねーから気ぃ付けた方がいいって事」 「……ふーん」 「大体、桜は鈍感なんだから尚更注意しないと駄目なんだぞ」 恭平は依然と真面目な表情と口調を崩さない。 そんな恭平に薪森は少し表情を曇らせ、それ以上は何も言わなくなった。
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