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「小木原くん、恭平と友達になってくれたの?」
恭平を挟んで三人で並びながら廊下を歩き始めると、薪森が恭平の奥側から笑顔を覗かせて僕に訊く。
またドキッとしてしまった。
「『友達になってくれたの?』って何だよ!」
「恭平の事だからどうせ強引に誘ったんでしょ?小木原くんも迷惑ならハッキリ断ってあげてね」
「おいっ!」
薪森と恭平は漫才の様に息が合っていて、かなり仲が良いという事が窺える。
二人のそのやり取りを微笑ましくて、僕は思わず笑った。
「……まあ、ちょっとビックリしたけど全然迷惑じゃないよ。僕も恭平には興味持ってたし」
微笑しながら答えると、薪森と恭平は少し驚いた様な表情を浮かべて僕を見る。
「え、遼って自分の事“僕”って言うんだ?ちょっと意外」
「珍しいよね」
案の定、お決まりの突っ込みだ。
「あ……剣道の先生が礼儀とか言葉遣いに凄い厳しくて、“僕”って言わないと凄い怒られるから……」
と二人に説明したが、それは道場内での決まり事。
僕以外の門下生は殆どが道場を出た途端に“俺”を使う。
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