二十九

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「……好みじゃなかったらごめん。……でも恥ずいから俺が帰ってから開けて」 恥ずかしさの余り、プレゼントを持つ彩芽の手元に視線を落としたまま左手で鼻の頭を擦った。 箱の中身はピンクゴールドの華奢なネックレスで、喧嘩したあの日よりも少し前に購入した。 さおりに相談するのは絶対に嫌だったから、ネットでリサーチした結果、女子高生が欲しいプレゼント第一位というアクセサリーをプレゼントに選んだ。 指輪は恋人にプレゼントするものだし、ピアスはデザインが色々あり過ぎて好みが分からないしで、自分的には一番無難だったネックレス。 店員に相談しながら選んだのは、彩芽が好きなピンクに因んでのピンクゴールドという色らしい物。 「……ほんとは当日の明日渡したかったけど、浅羽と逢うみたいだから今日渡しとこうと思って」 本音では俺が一緒に過ごしたかった。 けど彩芽が浅羽を選ぶ限り、俺は大人しく引き下がるしかない。
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