二十九

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俺の気持ちを知った彩芽はどう感じて、今どう考えてるんだろう。 迷惑なだけだったか、少しは嬉しさを感じてくれているのか。 俺はやっぱり彩芽の中でも浅羽を超えられないだろう。 拒絶の言葉や気休めの言葉が俺の告白に対する返事なら、いっそ聞かないままでいい。 けど、また俺と今まで通りの関係でいてくれるだろうか。 多少なりとも余所余所しくされてしまう様になった場合は、浅羽弟みたいに恋愛感情を匂わせず友達として彩芽に接していけばいい。 俺が好きになった彩芽は俺を避けたりはしないし、そういう彩芽を好きになった。 不戦敗より判定負け、告白した事は後悔しない。 彩芽への気持ちは簡単に消えない事ぐらい自分でも解っていて、それを隠しながら彩芽に接するのは辛いというのも、この半生の経験で重々承知している。 不戦敗でなく判定負けした自分が悪いだけだから、それを受け入れて生きる。
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