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恭平には申し訳ない気持ちで一杯だが、そうも言っていられない。
薪森を諦められもせず好きでいる限りは、既に恭平を裏切っているという事には変わりない。
せめて恭平本人の口から聞くまでは、このまま突き進む。
恭平から『薪森が好き』だという言葉を聞くまで。
「俺は陸上部入るし、桜はバスケ部入るし、前みたいに時間合う日少なくなりそうだなー」
恭平のその不満を聞いた僕は、それを不服に感じた。
薪森と家が隣同士というだけでなく同じクラスになれた恭平は、僕とは比べものにならない程恵まれてるのに。
「まーきもーりさぁーん!」
何処からか薪森の名を呼ぶ男子の声が聞こえた。
僕達三人は一斉にそちらへ視線を向けると、見た事の無い数人の男子達が笑顔で薪森に手を振っていた。
「じゃーね、薪森さーん!」
「バイバーイ!」
その男子達は薪森に挨拶しながら僕達を横切って帰って行く。
「……知り合い?」
「ううん。全然知らない」
一応確認してみると、薪森は首を傾げた。
薪森ファンの類か。
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