プロローグ

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夫は離婚届けを書くと 席を立ち上がった。 ギィー と椅子が鈍い音をたてる。 そして夫は扉の前まで歩いて行く。 いつもの通りのスピードのはずなのに 今日はいつもよりも早く感じた。 夫は扉に手をかけると 「もう遅い…お前も早く寝なさい。僕はまだ仕事が残っているから少し書斎で仕事をしてから寝ることにするよ。」 そう言ってリビングを出て行った 夫の声はどこか震えている気がした。 1人残されたリビングは 時間が止まってる気さえするほど 静かだった。 私はじっと離婚届けを見て あぁ…終わったんだな と思った。 そう思った途端 離婚届けが涙で歪む。 今まで溜めていた物が 一気に流れ出す。 私はただ声を押し殺し泣いた。 何分も何時間もただただ泣いた。
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