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この状況を打開するためには、どうすべきだろう。
残念なことに、頭の回転は速い方ではない。
とりあえず何もしないよりはと、靴の爪先を穴の壁に触れさせてみようと思い、恐る恐る左足を前に伸ばしてみた。
バランスを崩して皮膚が壁に当たれば大事故だから慎重に。
(すでに大事故に巻き込まれてるんだけどねっ)
もしこれで多少減速できて、壁のどこかに梯子のような鉄の棒があれば、なんとか掴まって地上まで登っていけるかもしれない。
ローファーの爪先が削れなければいいけど。
(あれ…遠いな)
頑張って足を伸ばしてるのにまだ届かない。穴はこんなに広くなかったはずなのだが。
さらに足をぐっと伸ばす。
ばちっ
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