プロローグ

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  白ウサギは。走っている。 それを私は信じられない。 何故か。 そいつが2本の後ろ足だけで走っているからだ。 (…私、もうダメかも) いよいよおかしすぎる。 混乱状態だ。 走り過ぎて疲れたし、脳に酸素も足りていない。 だから気付かなかったんだ。 中庭の隅に、いつも閉まっていたマンホールの蓋が無かったこと。 その穴がいつもよりずっと大きくなっていたこと。 ウサギがなんの迷いもなくそこに飛び込んだこと。 疲労困憊で走ってる人間は急には止まれないこと。 私は。 穴に。 落ちた。 『きゃあああああああ!!!』  
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