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狼のフェンリルはみなしごでした。よちよち歩きもできない頃に、羊飼いに拾われて育てられました。
本来、狼というのは母性と友愛に満ちた生き物であり、子供を捨てるというような事は考えられません。
群れが全滅したか何か、よほどの事情があったのではないでしょうか。
羊飼いはフェンリルを子犬と間違えて拾ってきたのです。こうして、フェンリルは牧羊犬や羊と一緒に暮らす事となりました。
羊飼いは子犬と勘違いしてくれても、他の牧羊犬や羊は勘違いしてくれません。狼の子供だという事で大いに警戒されて、独りぼっちで淋しく暮らし始める事となりました。
しかし、羊の方にもボックという、同じ年頃の子供がいて、二匹は知り合いになりました。
子供に垣根はありません。丁度、同じ年頃の犬や羊がいなかったためもあり、二匹はたちまち仲良くなり、じゃれあいながら大きくなりました。
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