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とうとう羊飼いも、このままでは人付き合いもできなくなると、フェンリルを殺してしまう事にしてしまいました。
羊飼いが明日の朝のフェンリルの餌に毒を入れて殺してしまおうと妻と相談して、その準備をしている夜の事です。
ボックがフェンリルのところに慌てて知らせに来ました。
「大変だよ、フェンリル。飼い主がフェンリルを毒殺しようとしているよ。早く、ここから逃げた方がいいよ。」
日頃から、自分に対する周りの風当たり具合から、自分の微妙な立場を感じていたフェンリルは、来るべきものがとうとう来たな、と感じました。
「ボック、知らせてくれてありがとう。とうとうお別れする時が来たけれど、ずっとずっと友達だからね。」
フェンリルがこう言うと、ボックはちょっと首を傾げ、
「でも、君は狼、僕は羊。こうして一旦別れたら、お互い別の道を歩む事になるんだ。今度出会った時に、君が僕のことを食べたとしても、僕は君のことを恨んだりしないよ。」
と言いました。
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